あまり自分では見ることのできない屋根の状態。
この記事では実際の施工写真も交えて、屋根の塗装における重要ポイントを解説していきます。
相模ライフ株式会社 一級塗装技能士:藤原
屋根の種類
屋根には大きく二つの種類に分けることができます。
切妻・寄棟など勾配のついた三角屋根と、屋上となっている陸屋根です。
陸屋根では塗装工事ではなく防水工事が必要となりますので、この記事では前者の三角屋根についてのお話です。
陸屋根ではいかに雨水を侵入させないかということが重要になりますが、三角屋根に関しては雨水の侵入を防ぐとともに、いかに侵入した雨水を外部へ排出できるかというところが重要です。
陸屋根
切妻屋根
屋根の構造
屋根の防水構造は、1次防水と2次防水の二つから構成されています。
1次防水とは表面に見えている屋根材のことで、スレート(コロニアル)や瓦などのことを指します。
最初に雨や風を防ぐ役割をし、建物を守っています。
外壁の場合はサイディングボードや、モルタルなどを指します。
二次防水とは、外壁の場合では外壁材の内側に入っている透湿防水シート、屋根であれば野地板に張り付け、スレートの下にあるルーフィングと呼ばれる防水シートのことを言います。
1次防水で防ぎきる事ができずに水が侵入してしまった場合でも、ルーフィングや防水シートによって雨の侵入を防いでいます。
このように建物というのは、1次と2次の2段構えの防水構造で、雨や風から守られています。
塗装の役割
「10年が経過したから塗装を考える」というのも目安の一つとして良いですが、よりベストなタイミングで工事を行うためにも、ここで一度塗装の必要性を改めて考えてみましょう。
屋根材の保護
塗装というものはそもそも建物の美観のためだけでなく、建物を構成するパーツを守るという「保護」の役割ががとても大きいです。
つまり塗装を行うことは屋根や壁に使用されているスレートや瓦、サイデイングボードやモルタルの耐久性を延ばし、建物全体の長寿命化につながります。
例えば、塗膜による外部からのダメージの保護機能が働いていないと、物質を劣化させていく太陽の紫外線や雨によって劣化が進み、最終的にはボロボロに風化してしまう事になります。ボロボロに傷んでしまっては、屋根材や壁材は建物を守ることは出来なくなってしまいます。
しっかりと塗装がなされており保護機能が働いているのであれば、屋根材や壁材の劣化を表面の塗膜が代わりにダメージを受け、守ってくれます。
表面の塗膜が劣化していくだけならば、雨風から建物を守るという屋根・壁の本来の仕事を続けていくことができます。
しかし塗装による屋根・壁材の保護機能は永久的ではなく、塗料の種類にもよりますが10年程度であります。次第に機能を失っていってしまう塗膜ですが、適切なタイミングで屋根や壁を塗装をする事が出来れば、再びその効果を蘇らせ、建物自体を長期間保護する事が出来るのです。
とことん劣化が進んでしまうと
塗膜が完全に傷み切り保護機能を失ったとしても、再塗装をせずにそもままにしてしまう方もいらっしゃいますが、屋外という過酷な環境に置かれている建物を長く保つことは出来ません。
屋根の場合、一時防水であるスレートによって守られていない屋根は紫外線や、侵入していった雨水による浸食でルーフィングが劣化し、二次防水の機能を果たせなくなってしまいます。
一次・二次とも低下してしまった防水機能では、加速度的に建物が劣化し、朽ちていってしまうのです。
勿論建て替えを前提に考えているなら手直しをしないというのも一つの選択肢です。
ですが家ごと建て替えるというのはかなりの費用がかかってしまいますので一般的ではないかと思います。
屋根材を丸ごと全部取り替える「葺き替え」という工事。こちらもかなりのお金がかかってしまいます。
リーズナブルにお家を維持すると考えた時には、屋根材の塗装が劣化したタイミングで再塗装を行い、建物の保護機能を長持ちさせるという考え方の方が正解かと思います。
塗装を行うときにはこれも要チェック
棟板金
『棟板金』と突然言われても「一体どこのこ?」とピンとこない方が多数だと思います。
私自信が点検・お見積りを行う際に塗装面の他に注意深く点検をする部位になります。
このなじみのない棟の板金ですが、一般的にスレート(コロニアル)系の屋根の一番上部にある金属の蓋のような存在です。
屋根の面と面が合わさる山の接合部分、ここに蓋をし雨水の侵入を防ぐ役割をしている部分を『棟板金』と呼びます。
この部分が外れていたりするとこのように台風などで剥がれていってしまうことがあります。
まったくのノーメンテナンスであった場合は、塗装工事のついでに点検をお願いしましょう。
釘の抜け
この症状についてはほとんどのお家で見られます。
蓋の部分が固定されていないと強風で外れてしまうことがあります。もし釘が抜けていた場合はただ打ち直すのではなく既存の釘より太いくぎを打ち直すか、ビスでの固定に変えてもらいましょう。
まとめ
いかがでしょうか?
屋根の塗装やそれに付随する補修作業についての確認をしてきましたが、この記事の情報でより良いリフォームを皆様が行えることをお祈りしています。
外壁に比べ屋根はなかなか確認が難しいと思います。
ですが建物にとって一番大切な部分なので、雨漏りや不具合が発生して悲しい気持ちにならないためにも、建物を守っていくれる健康な屋根を保っておきたいですよね。