最近よく聞く火災保険での無料工事。
本当にそんな事できるの?怪しくない?などなど不安になってしまう事もあるかと思います。
そんなお悩みを解決すべく、解説していきます。
火災保険で工事は出来るの?
結論を言うと、可能です。
上記の写真のお宅では100万円前後の保険金が下りました。
ただ塗装の経年劣化に対して保険が下りるわけではありません。
加入している火災保険の内容によりますが、基本的には火災・風災(台風・強風)・雪害(積雪・ひょう)等の災害に適用されます。
※もちろん被災されている事が前提なので、破損が見受けられない場合には適用出来ません。
では何故火災保険で塗装が出来るのかと言う話ですが、理由は二つあります。
1. 屋根工事や雨樋工事でも足場は必要
棟の板金交換工事や雨樋の復旧工事でも足場は必要になります。
100万円前後の塗装工事では、足場代で15万〜20万円程の費用がかかります。
火災保険では被災箇所の補修工事に付随する足場代金も補償されます。
そのため、被災箇所の補修工事のために架けた足場をそのまま塗装工事にも使う事で、足場代の20万円弱を節約する事が出来ます。
2.下りた保険金は原則使用用途は自由
屋根の破損や雨樋の破損で申請を出しているからには、その部分の工事費に充てなければならないと考えるのが一般的だと思います。
しかし意外にもそれは間違いで、下りた保険金の使用用途は自由なのです。
火災保険料とは、「被災した場合に保険金を受け取るために支払うもの」とされているため、その先の使用用途までの取り決めはなされていないからです。
なので被災箇所の補修をせずに塗装工事費に充てずにその他の工事費に充てる、という事も可能となります。
ですがそれについてはあまりオススメは出来ません。当然破損している箇所の修復は必要ですし、本当に直したいと言う時に保険が下りなくなってしまう場合があるからです。
補修工事にも様々なやり方があります。
どうしても塗装工事がやりたいと言う場合には、補修工事の内容を変えるなどの工夫が必要かと思います。
雪害・風災で200万円前後の保険金が下りたお宅
(瓦屋根から金属屋根)

地震保険は使えるの?
火災保険では上記の様な被災に適用するため、外壁に対しては地震保険の方が活用しやすいです。
ヘアークラック(髪の毛程の幅のヒビ)では少し損害金の申請が少し難しくなってしまうかも知れませんが、遠目から見てすぐに分かる様なヒビならばスムーズに受け取る事ができるはずです。
ですが地震保険の場合は、申請出来る期間がかなり短いです。
基本的に地震発生日より10日以内が原則なので、迅速な手続きが必要となります。
(火災保険ではおよそ3年以内)
火災保険の適用条件とは?
まず火災保険は大きく分けて、保険の対象を『建物のみ』か、『建物+家財』を保証するタイプのどちらかになります。
意外かもしれませんが、家財を保証するプランに加入されている場合、火災保険の中で家具・テレビ・冷蔵庫・洋服・カーテン等を保証してもらうことが出来ます。
※加入プランによるので要確認です。
適用部位
屋根・外壁・雨樋などの建物そのものとそれに付属する部分。
門・塀・フェンス・カーポートなどの建物と接してはいないが住宅の一部とされる部位。
建物と聞くと居住部分のみかと思ってしまいますが、火災保険の指す『建物』とは、フェンスやカーポートなどのエクステリア部分までカバーされているのです。
カーポートは特に雪害で壊れてしまうことが多いので保証の範囲内なのは助かりますよね。
保険申請を行う場合には、門・塀・フェンス・カーポートなどの被災箇所の申請漏れの内容に注意して行いましょう。
火災保険でカバーできる災害の種類
火災保険と聞くと火災にのみ適用できそうですが、名前に似つかわしくない程の広範囲の災害に対応しています。
その中でも『住宅火災保険』と『住宅総合保険』の二つに分けることが出来ます。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
住宅火災保険 | 住宅総合保険 | |
---|---|---|
火災 | 〇 | 〇 |
風災 | 〇 | 〇 |
落雷 | 〇 | 〇 |
水害 | ○ | ○ |
雨漏り | × | ○ |
人災による破損 | × | ○ |
盗難 | × | ○ |
住宅火災保険と住宅総合保険の違いは以上のようになっています。
住宅火災保険は、火災のみならず自然災害のほとんどが補償の範囲です。
それに加え住宅総合保険は、雨漏りや窃盗、自然災害以外の偶然の事故、人災なども対象になります。
火災保険の注意点とポイント
破損が保証されるかは破損原因によります。
火災が原因なのか、台風が原因なのか、はたまた雪か、物が飛んできたのか、自動車をぶつけてしまったのかによって保証されるかが決まります。
自然災害が原因であればほとんどの場合で保険が適用されますが、プランによっては水害などをカバーしていない場合があるので注意が必要です。
水害に関しては、被災する確率が地域によって大きく違いますので、水害をカバーした火災保険に加入しているのは全体の約18%と言われ、加入していない方が多数となっています。
通経年劣化には使えない
台風や雪などの災害による破損の保証なので、経年劣化による破損には適用できません。
しかし少なからず経年劣化が進んでいるから、風などで破損してしまうのであって、そのあたりの線引きは難しいところですが、一応そのような決まりになっています。
結局一般的には何に使えるの?
主に生活の中で使用されるものとしては、風災と雪害が挙げられます。
「風災」とは台風など強風での災害を指し、竜巻や旋風もこれに含まれます。基本的に火災保険の補償範囲に含まれていることがほ殆どで、棟の板金の剥がれや瓦の飛散などの災害に適用されます。
次に雪害ですが、こちらは積雪の重みで建物の部位が破損するような災害を指します。
雨樋やカーポートの破損に多く適用され、屋根から落ちた雪でフェンスが破損した場合に適用されることもあります。
申請には期限がある?免責ってなに?
火災保険の申請には期限があり、被災から3年以内であるということが保険法第95条(消滅時効)によって定められています。
その他、保険には『免責金額』が定められています。火災保険の場合、ほとんどの方の免責金額が20万円です。
要するに20万円未満の修理では火災保険が下りないということですが、実際に風災や雪害による被害は広範囲に及ぶため、20万円を超えないことの方が難しいのでここは心配しなくても良いでしょう。
火災保険申請の流れ
①業者に破損個所の確認を依頼し、修理の見積書と破損の概要を作成してもらう。
②加入している保険内容と照らし合わせ、適用できるかを確認する。
③保険会社に連絡し、申請書を取り寄せる。
④保険会社が必要とする、見積書等の書類を用意する。
⑤保険会社に書類一式と破損部位の写真を送付し判定してもらう。
⑥保険金の振り込みを受ける。もしくは鑑定人が来る場合は調査をしてもらう。
⑦鑑定人の現地調査後、確定した保険金を受けとる。
保険申請のやり方
保険の申請にはご自身で行う方法と業者に依頼する方法があります。
ご自身で行う場合にも見積書が必要となるため、業者に依頼しなければならない部分があったり、写真撮影などには危険が伴うため、オススメはできません。
親身に相談になってくれる施工業者を探し、依頼する方がスムーズに進められるでしょう。
代行業者に依頼する場合は注意が必要です。
施工業者やリフォーム業者が、工事を依頼されたうえで行う保険申請の代行には手数料がかからないことに比べ、火災保険代行と名乗る業者は30%~50%というとても暴利な手数料を取っています。
火災保険自体はそこまで難しい手続きではないため、知識の少ない人を騙した悪質なビジネスと言えます。
『社団法人〇〇協会』といったような社名を名乗り、あたかも行政機関のような口ぶりで手数料をかすめ取っていきます。
さらに問題となるのは、代行業者には住宅に関しての知識が全くない場合があるということです。
一例を見てみましょう。
住宅に関する知識や資格をしっかりと持っていての代行業ならば問題はないと思いますが、開業資金がかからない事から、このように様々な業種の方が副業のように代行業(?)を行っているのが実情です。
手数料を支払ってしまったがために修理が出来なくなってしまう、なんて事のないように代行を依頼する場合にも業者の見極めが大切です。
100万円分の30%となると、手数料で屋根が塗れるくらいの金額になってしまいます。
火災保険が下りなかった… 他にお得なやり方は?
住宅のリフォーム工事には、お住まい市区町村によってバリアフリー・外壁・屋根塗装などに適用できる助成金や補助金が存在します。
もちろん条件や上限数がありますが、申請して採択されると10万円前後、地域によっては20万円以上の補助金を受け取ることが可能です。
お住まいの自治体によって申請方法や条件に大きく差がありますので、業者に相談しながら助成金の受け取りを検討すると良いでしょう。
まとめ
火災保険で無料で工事を行うことも可能です。しかし適用される条件もそれぞれで異なりますので、ご自身の加入されている保険のプランをまずは確認してみると良いでしょう。
また、無知に付け込み、お家の人の利益を全く考えない代行業者が大量発生しているという点も見逃せません。
しかしご自身だけでは完結できないのも事実です。信頼できる業者に相談しながら、申請を進めていくことが望ましいです。
せっかく加入しているのに、実費で工事をしてしまったなんて事は大変もったいないです。確認することは多いですが、ぜひ活用してみましょう。