この記事ではそれぞれの色の特徴や性質を踏まえて選び方のコツを具体的に解説していきます。また色の組み合わせや色の配置についても、画像を用いて解説していきます。
相模ライフ株式会社 一級塗装技能士:藤原
そもそも色とは?
簡単に言うと物体が反射した光の一部です。
その光を人間が目で受け脳が感じて、色として認識する事が出来ます。太陽の光や蛍光灯の光は無色と言えますので光の三原色にならうと青、緑、赤の全てが入っていると言う事です。
例えばリンゴの色が赤色に見えるのはリンゴが青と緑の光を吸収し、赤色だけを私達の目に反射するからなんですね。
科学の話になってしまいますので割愛しますが異常が色というものの正体です。
人の感情へどういう効果をもたらすのか
不思議なもので、色は人間の精神面に大きな影響を与えます。
マクドナルドや松屋など数多くの飲食店の看板には赤、黄といった暖色が使用されています。これらの色には食欲を増幅させる作用があると言われているためです。
反対に青色は食欲を減退させる作用があります。
知らず知らずの間に私達は色によって気分や感情を動かされているのですね。
お家の色についても同じことが言えると思います。
外壁の色を赤や黄色などエネルギッシュな色にした場合、家族に対してもより活発的なイメージを与えるでしょう。
反対に青や緑などのリラックス効果を与える色にした場合は家族内も落ち着いた雰囲気に、またご近所トラブル防止にもなるかも知れません。
しかし外壁は常に目に入る所ではないため、室内の壁紙の方が色の効果というのは顕著に現れそうです。
無彩色/有彩色
上で書いた赤、黄、青など色味のある色の事を有彩色と呼びます。
反対に色味がない色、白、黒、グレーなどの事を無彩色も呼びます。彩りが有るか無いか、という事ですね。
膨張色/収縮色
縦縞が細くみえ横縞が太く見える、といった様に人間の目に錯覚が起こります。
それは色自体にも起きており白い色は膨張して見え、黒い色は収縮して見えるというものです。
なので外壁には明るい色を使用した方が建物が大きく見えるといったメリットがあります。
反対に黒い色を使用した場合は建物を大きく見せる効果は無いかも知れませんが、暗い色には重厚感があるため違った迫力を演出する事が出来ます。
進出色・後退色
色には奥に見えたり手前に見えたりする錯覚もあります。
一般的に赤色は手前に見え、青色は奥にあるようにみえます。この効果を活かし、部屋の一面の壁青色にすることで部屋を広く見せることも可能です。
また、赤色の車は手前にあるように錯覚するので、事故に遭うことが少なくなるかもしれませんね。
赤色は劣化しやすいって本当?
色にも劣化しやすい色、そうでもない色があり、実は劣化のしやすい色は赤色なのです。
光にも色々な色がありますがその中でもエネルギーが高い色が青色なので、青色を吸収している赤色は劣化しやすいという事なんですね。
今どきの塗料では気にする事もないかも知れませんが、塗膜が剥がれている車って赤色が多くありませんか?また道路標識なんかを見ても赤色が比較的早く色褪せていることがわかります。
そこでじゃあ全ての光を受けている黒色はどうなんだと言う話になってきますが、やはり白よりは退色が顕著に表れてしまうため劣化は早いように思えます。
しかし黒色色素は比較的安定的な物質と言われており、光を吸収しても熱を持つだけであまり変化をしないため赤色よりも耐久性があると言われているんですね。
艶ありと艶消し
艶のあるなしでも耐久性は変わってきます。
塗料においては理由は3つありひとつは光の反射率によるものです。
艶ありの場合は光を比較的吸収せず反射するので、艶無しに比べて耐久性があります。反対に艶無しの場合は反射することなく光のエネルギーを受け止めてしまうので劣化が早いとされています。
二つ目は添加剤によるものです。
艶無しがベースの塗料なら影響はありませんがもともと艶ありの塗料を艶消しにする場合フラットベースという艶消し材を添加します。
艶消し材には最大添加量があり、加えていい量の上限が決められています。
それは本来の塗料にとっては不純物に他ならないからで、入れれば入れるほど塗料としての質が落ちていくのは当然ということですね。
三つめが塗装表面の滑らかさの違いです。
艶あり塗料は表面が滑らかなために光沢が出ていますが、艶無しはその反対です。
艶消しとはそもそも表面が荒く光が乱反射するから艶が出ないのです。光が分散するため目に入ってくる光が少ないということです。
表面が滑らかでないということはその分汚れやすくコケも生えやすくなってしまいます。
そのため耐久性に差が出てしまうということなんですね。
指し色とは
『指し色』という言葉はファッションやインテリアでも良く使われるので耳にした人は多いと思います。
しかし指し色の上手な使い方を知っている人は多くは無いのではないでしょうか。
指し色の使い方には主に3つのコツがあります。
デザインに多くの色を使いすぎないこと。
あまり多くの色を使いすぎるとどれが差し色か分からなくなってしまいます。ベースの色と指し色を合わせても3色までが良いのではないでしょうか。
3色の組み合わせはスッキリしてますが6色はなんだかごちゃごちゃですね。
指し色は目立つ色を使いましょう。
例えば白い壁に薄いグレーで指し色を入れたとしてもメリハリがなくぼやけた印象になってしまいます。一色でまとめるのもおしゃれなので不正解という訳ではないですが、指し色でアクセントを加えるならばある程度はベースの色とは違った色を入れると良いでしょう。
濃い青緑はメリハリがありますがグレーはぼやっとした感じですね。
最後は指し色を入れる面積は小面積に抑えるということです。
ファッションでいうところのマフラーや手袋、といったぐらいでしょうか。あまり大部分に入れるとベースの色なのか指し色なのか分かりにくくなってしまいます。
お家には付帯部(破風・雨どい等)あたりにしておくのがベターかと思います。
赤の面積が大きい方もおかしくはないですが「指し色」というようなアクセントはないですね。
組み合わせのパターン
色の組み合わせも大切です。
街には様々な組み合わせがありそれぞれに意味をなしていますが、外壁塗装においては[使う色は三色まで][(彩度の高い)有彩色+有彩色+有彩色は避ける]、というところだけ押さえておけば失敗することはないでしょう。
ほかには彩度がかなり高い色は指し色に使用する、明度にも気を使ってメリハリをつけることを意識する、といったところでしょうか。一度紙に絵を書いてみる…なんてこともアリかも知れませんね。
→カラーシミュレーション